ボクキキⅠ神社編1:エロベンチャーのはじまりだ。
あれから、季節が2回変わっただけなのに、10年もたったような気がする。思ってもみない筋書きと、信じられない結末だったが、いま思えば、得がたい体験だった。
あの日。
そう、すべては、あの日始まったんだ。
おかあさんがクルマにはねられた日、ぼくは駆けつけた病室で、立ち尽した。
たくさんのチューブをつながれ、ベッドに横たわるおかあさん。
集中治療室。意識不明。重体。
テレビではよく耳にした言葉。まさかこんなかたちで、現実に見ることになるとは。
ドクターに言わせると、死なずにすんでも、植物人間かもしれないって。
(植物人間ってさいしょに言った人、天才的に嫌なヤツだなあ)
「回復は約束できないよ、残念だけど」
って、ぜんぜん残念そうじゃない。
医者はいつもそうだ。アンタらには、10000分の1の命かもしれないが、ぼくにしてみたら、かけがえのないオンリー1なんだよ!って叫びたいのを飲みこんで、病院をあとにした。
もう、真夜中になっていた。
ぼくは、おかあさんが大好きだ。
うちには、おとうさんがいない。気がついたころには、もういなかった。
だから、ぼくを育ててくれたのは、ぜんぶ、おかあさんだ。
おとうさんもおかあさんも、おかあさんだったんだ。
損か得か二つあれば、人に得なほうをまわして、自分は損を選ぶ人。
どんなことも人のせいにせず、自分の努力で何とかしようとする人。
明るくて、強くて、やさしくて、尊敬している。
あんなおかあさんになりたい、って思ってた。男だけど。。。
(このへんに、神社があったな)
子供のころ、かくれんぼした神社だ。
神さまに祈る以外に、いまのぼくになにができるのだろう。
500円玉を奮発して、神様が目を覚ますくらい、思いっきり手を叩く。
パン、パン。
どうか、おかあさんを、元にもどしてください。
二人っきりの、家族なんです。
おかあさんがいなくなったら、ぼく、この世の中で、一人になっちゃうんです。
まじめに生きますから。食べものを残しませんから。
どんなときでも、どんなことでも、ガマンしますから!
「ほんとうだね」
神社の木の陰から女の人。
時刻が時刻だけに、ユーレイだ!腰が抜けた。
「やっぱりキミは、腰抜けの、ドーテーくん?」
(うるさいな、両方あたってるけど、、、でも、なんで知ってるの?とくに後半部分)
よく見ると、派手めの美人。おねーさんタイプ。170センチくらい。Eカップ以上。
霊なのに、肉体派。
「なにジロジロ見てんのよっ」
(すいません)
「あのね、ユーレイじゃないからね」
(じゃ、午前2時に肉体派がなんの用事なんだろ?)
彼女は、勉強のできない生徒にイライラする女教師のように、
「あ・の・ね、さっきから、ガマンできるのね?って質問してるの。どんなときでも、どんなことでも。神様に,半泣きで約束してたでしょ?」
(半泣きは余計だ)
「聞いてたの?」
彼女はぼくの質問を
(わたしがしゃべりたいことをしゃべる、人の話は聞かない、それがわたしの会話術)
って感じで無視して、
「それはつまり、欲望に耐えてみせるってことでしょ?ドーテーくん」
(だからあ、なんんんで知ってるんだ?)
チャンスがなかっただけだ。
高校生のときはサッカーに夢中で、女子なんか(すこししか)目に入らなかったし。
高校を出てからは、2年間世界中を放浪してたし。
テロやゲリラや毒蛇やエイズやあぶないことや、カルチャーびっくりショックの連続で、女性どころではなかったし。
「そうやって、いつも女の人から逃げてるのね」
(逃げてる?)
「それがあなたの家系」
(家系って、ほかに誰?)
「そのヒミツは、最終回で明らかになるわ」
(最終回!?)
「おかあさん思いで、やさしくて、かわいい顔して、腰抜けで、臆病者の、ドーテーくんに提案があるの」
(もういいよ!)
「こういうゲームって、どうかしら?」
彼女がいうのは、こういうことだ。
これから、12人の女性たちが、ぼくに差し向けられる。
たとえると、刺客ってヤツだ。ダイレクトにいうと、セックスしにやって来るのだ。
だれと。ぼくと。なにを。セックスを。
そう、セックスを。
「カワイコちゃんばかりよ~ん、期待してね~ん、ドーテーくんともサヨナラできるよ~ん」
でも、ひとつルールがある。
ぼくは絶対に彼女たちより先にイッちゃいけないと。ダシちゃいけないと。
口でも手でも、もちろん中でもダメだと。暴発もダメだと。即時退場だと。
かならず自分より先に、彼女らをイかせなきゃならないと。
全員を見事クリアできれば、おかあさんを元どおりにしてあげると。
(バカバカしい話。やっぱこのひと、あたまヘンだ、きれいなのに)
「あー、そんなこと、いっていいわけ?わたしは、溺れる者の、ワラ、よ。九死に一生の、一生、よ。ステアウェイトゥヘブンよ」
(天国は困るんですけど、、、)
でも、フシギな人だ。
たしかにぼくは、人生の荒海に溺れそうだ。
イレてもいいが、ダシちゃダメってこと、さすがにドーテーくん(自虐)にはそれがどんなことかわからないけど、まあ、これまで、セックスしなくてもダイジョーブだったんだから、ダイジョーブでしょ。
「・・・とか、キミ、思ったでしょう。キミ!キミ!キミ!ア・マ・イ・ヨ!それがどれだけの苦行か、ヒントくらいあげなければいけないようね」
いい終わらないうちに、彼女はぼくの手をひき、真夜中の境内の奥へ奥へと入って行き、そして、一本の太い木にしばりつけるように、ぼくの背中を押しつけた。
ダシンン!
や否や、ぼくの胸にEカップ以上(推定)をむにゅっとこすりつけながら、ジーンズのフロントのボタンを、テテテテテテと秒速ではずして、長い指を中へすべりこませて、ストライプのトランクスの上から、ぼくのアレをタマごとぐむっとにぎりしめて、ぐりんぐりんとクルミのようにもてあそぶ。
流れるような匠の技。0コンマ1の継ぎ目もない。
(あ、あ、あ、おっきくなってきた)
いつの間にかうっとり閉じていた目を開けると、
あれ・・・おねーさんがいない。
と、思ったらー下だ!一瞬のうちに彼女のくちびるはぼくのアレをほおばっていた。
秒殺。
・・・やばい・・・きもちいいいいいいいいいいいいいいいいい。