コトバのコトバ

ボクキキⅩⅠサクラコ編1:チェリーの問題。

欲求不満なんだ、ぼく。
、って単刀直入なんですが、単刀を直入したいんだ、って単刀直入スパイラルですが、まあ、そうなんです。イレるには、イレている。確かに。でも、出してはいない。
モロダシの言いかたですが、ダシてはいない、ってモロダシスパイラル。

だって、「例の女」ばかりなんだもん。出しちゃいけないんだもん。
それ以外に、そういうきっかけ、ないんだもん(号泣)。
というわけで、大人っぽい対応をとることにしました。21歳。

クロートのオネーサンに、お願いしようというのです。さすがだ、ヒトミの依存心。
なにごとも経験だしね、ソープってとこもね(自己言い訳)。
ネットで思いっきり(3日徹夜)調べて、
怖そうじゃないところ。
高くはないが、安すぎず。(安すぎるものには理由があるのよ、って、おかあさんの言葉、こんなタイミングで思い出して、ごめんなさい)
クレジットカードで分割にできる。

で、決めました。「大奥パート2」。
将軍様、どうぞ奥の奥まで(キャッチフレーズ)。
腰元プレイ、が名物だそうだ。帯持って、グルグルやって「あ~れ~」ってやつ。
ぼくはやらないけど。たぶん。

とりあえず、予約の電話。プルルルル。
「はい、毎度ありがとうございます。お客様は、将軍様。大奥パート2でございます」
これが、決まり文句なんだろう、このオジサン。
「すいません。予約をお願いしたいんですが」
「予約でございますねー、当店は、お初めてでございますかー?」
「初めての初めて、です」

「初めての初めて様、でございますねー、だいじょうぶでございますよー、初めての初めて様も、当店では将軍様でございます」
将軍タイプじゃないしなあ・・・ぼく。

「どのようなタイプをご希望ですかー?」
「いつも笑顔でやさしくて、でも芯が強い人」
「あのー、結婚相手とかそういうことではございませんのでー」
「じゃ、テキパキと動けて、ぼくを引っぱってくれるリーダータイプの人」
「あのー、当店、運動部ではございませんでしてー、まあ広い意味の運動はやりますけどー、ぐふふ」
自分でウケてる。

「では、テキトーに選んでおきますのでー」
テキトーでもなんでもいい、「例の女」じゃなければ。
予約は、来週の月曜日。月曜日は、半額サービス。雨なら、さらに半額。

残念、当日はヌケるような(そういう意味じゃなくって)晴天。
目的地は、ベルサイユ(ソープ)とホワイトハウス(ソープ)の間にありました、大奥パート2。
「わからなかったら、お電話くださいねー」って、わかりますよ、だってピンクの天守閣の建物。。。

「あのう、すみません」

大奥の奥(ややこし)から、不機嫌そうなオジサンが出てきた。
「アンタねえ、30分遅刻だよ」

ありゃ、やっちゃったか、でも・・・そうだっけ?
「まあいいから、そこの中で待ってて」と、玄関脇の部屋を指さす。

入ってみると、小さな事務室みたいなところ。こういうお店って、経験者の友達に聞いたら、豪華な待合室があって、お酒とか出してくれて、とか聞いてたのに、えらい違いだな。。。やっぱりビギナーは、ここからスタートしなきゃならないんだ。

5分後、事務室にオジサンが入ってきて、ぼくの前に腰を下ろした。

「先週電話くれた人だね?」
「はい」

オジサン、鼻毛抜きながら、
「なんでウチ来ようと思ったの?」

理由を聞かれるとは、思っていなかったけど、
「正直に言うと、イキたいんです」
「はぁん?」
「出したいんです」
「なにを?」
「なにを、って、ある種の液、、、ですか?」
「ある種の液、って、アレのか?」
「ある種の液って、アレ、のです」

「ぶぁっかむぉーーん!この店でシタいなんて、100年早いわっ!!!」
オジサン、ヅラづらしながらの、大激怒。縮みあがる将軍様、のはずのぼく。

「オレだってなあ、この商売25年やってるけど、一回もオネーサンに手ぇ出したこと、ねーんだぞぉ!」
なんかよくわからないんだけど、なんか言ったらまた怒られるので、あやまる。ヒトミ流。

「ごめんなさい」よわ。
「とにかく、これに記入しろ」って一枚の紙を手渡される。
名前、住所、履歴を書け、と。

こんなことまで、ビギナーはしなきゃいけないんだ、ま、しょうがない、半額の日だしな。それにしても、カラオケで得意な歌まで書くのか、、、あとで歌うのかな?

「オマエ、アホか?」
なんだ、いきなり!?

「自分の名前、間違えてるぞ」
どゆこと?
「姉小路って、どこのお公家さんだよ、バカ。お前の名前は、ウエダだろ?ボケ!」
あ、そうか、ぼくはウエダなんだぁ、って、いつから?

「あのぉ、ぼくウエダじゃないです。ほんとうに、姉小路といいます。姉小路ヒトミ。
ほら、これ」と、定期券と、クレジットカードと、AVしか借りたことのないビデオ屋さんのカードを見せたら。
「ア・ネ・コ・ウ・ジ・ヒ・ト・ミ」
って、たしかめるように読んでみて、
「あ、あ、あ、ご、ご、ご、めん、めん、めん。バイトの面接に来た高校生じゃないのね?」

ぼくは、高校生に見えるのか?それより、高校生が、こんなとこで働くのか?
「ぼくは、今日予約した、お客です。はじめてだけど(←言い訳の必要なし)」
「お客様ァ!もう、ほんとうにイジワルなお客様でございますよ、もう、どちらの貴族のおぼっちゃまかと思いましたよ、まさかこんなみすぼらしいソープに来ていただけるとも思わず、わたしとしたことがウッカリさんにもほどがある!」
そのみすぼらしいソープの、半額の日に来ているのですが。

「貴族も、閣下も、殿下も、大統領も、お客様は、みなさま将軍様。大奥でございます」
もうわかったよ。

「では、上様、今日の姫を、お選びください」って言って、アルバムを持ってきた。
写真を見せてくれるらしい。

「選んどいてくれるって、言ってたのに」
「はて、そうでございましたっけ?」
すっとぼけてる。

パンジーさん。クッキーさん。ジェニファーさん。サンディーさん。
みなさんキレイなんだけど、あのこれ、写真にすげー修正入れてません?
しかも、修正してもバレるくらい、みなさん、立派にオネーサンのような、つまり年齢が↑のような。

「この人たち、おいくつなんですか?」
「パンジーさんは、25。クッキーさんは、26。あとの二人は、27」
もうすこし上に見えるけど・・・。
「プラス10!」
やっぱり。
「以上!」
なぬーーー!

「年上がイヤだってわけじゃないけど、ですね、あの、その、、、」
「だってお客様、リーダータイプがいいって、おっしゃってたじゃないですか」
やっぱ、覚えてるじゃん!

「サンダさん、いい人ですよ」
「サンダさん?」
「あら、間違えた。サンディーさん」
「サンダさんなんだ」
「三田秀子」
、、、普通の名前。ちなみにジェニファーは、銭田さん。

「じゃ、この人、チェリー、あ、どうしようかな、うーん、じゃ、やっぱり、うーん」
一枚、写真を隠してる。見せてくださいよー。
「チェリーさんは、3日前に入ったばかりの超新人で、しかし、ちょっと問題が、・・・見ます?」
見ます見ます。

うわあああああ、キャワイイイイイイーーー、じゃないですか!隠してるなんて、ひどい。
「実物は、もっとカワイイでございますよ」
ほんと!?
「でも、チョト、モンダイ、アルね」なぜか、古い中国人風。
「少々の問題なら、慣れているし」
「少々じゃ、ございませんよ」
「すごい年だとか?」
「このコは、正真正銘の19歳」

「男だとか?」
「それはない」

「子連れだとか?」
「それもない」

「全身イレズミだとか」
「それもない」

「後頭部に、もうひとつ口があるとか」
「そうです」
「ギョヘー!」
「ウソです」
びっくりした。

「わかりました。今日は、お代はいただきません」

ほんと?でも、タダにするくらいの問題、ってことなんだろう。
「でも、あとで文句を言わないでくださいませね」
はーい。
ダメだったら、よそ行けばいいや、くらいの気持ちでいたのだが。

「ちょっと待っててね」とオジサンがいったん大奥の奥(お気に入り)に引っ込んでつぎに大奥の表(それほど気に入っていない)に出てきたときは、白馬を引いて現れた。
ぼくは、将軍様なので当然だ(か?)それにまたがって、大奥の奥(お気に入り)に行くのだ。そして、ある部屋の前で、「ここでございます」。
綱吉の間。犬でもいるのか?
ふすま柄のドア(!)を開けて、ゴタイメーン。
うひゃー、「実物はもっとかわいい」はウソじゃないよ。
にっこり笑ってるし、愛想が悪いわけでもなさそうだ。
超ラッキー!このコと、数分後には、むふふふ・・・と思ってたら、

「わたしの問題のこと、聞いてくれました?」
やっぱり、問題は存在するのだ。
でも、男ではないし、とりあえず子連れではないし、後頭部にもうひとつの口も、いまのとこ、発見に至らず。

「わたし、セックスできないの」
へえ、そうなの、、、なぬー?!
「できるできない以前に、したことないの」
ということは?
「処女」
処女のソープ嬢!

「痛くて痛くて、入らないの。アソコが貝殻みたいにぴったり閉じてて、小指も入らないの。箸も、ボールペンも、クルマのキーも、ガリガリ君の棒も入らない」
試したのかよ。

「これまでに入れられたのは、耳かきくらい」
入れてんのかよ。

「これまでに、何人かとシようとしたんだけど、そのたびにわたし、大出血&失神→救急車」
格闘技か、事件現場。

「だから、今日もムリ」
この問題は問題だ。こんなところまで来て、セックスできないなんて、ごはん切れのカレー屋さんだ(ちょっと違うか)、揚げ物のないトンカツ屋さんだ(ちょっと違うか)、お寺にお参りできない京都観光だ(もういいよ)。
しょうがないなって感じで、帰ろうとしたら、

「でもヒトミくんは、わたしとシなければならない」
どゆこと?あと、なんでぼくの名前??しかも、「くん」づけ。
「だって、ヒトミくんは、わたしを乗り越えていかなければならないでしょ?これまでに、10人乗り越えてきたように」
つまりキミも・・・。
「例の女」
もう、驚かないよ。