コトバのコトバ

ボクキキⅩⅠサクラコ編3:ヒトミの作戦。

だいじょうぶ。ぼくがなんとかする。
考えてみよう。ポクポクポクポク(それは、一休さん)
濡れてはいるのだ、いまのところきっかけは、そこにしかない。

(ということは・・・ははーん)

お友達に協力してもらおう。
リュックの中をガサゴソやって、カエルさん登場。
浮気妻相手に(第7話)あわやのぼくを、救ってくれたカエルさん。彼はラズベリー内部の水分を吸って、濡れる→吸う→大きくなって刺激する→さらに濡れる→さらに吸う→さらに大きくなって刺激する、というとんでもない無限ループを実現するカエルさんなのだが、今回のケースでは、中へ入ることはできない。

じゃ、どうするか?いい?ちょっと見てて(←アメリカの料理番組ふう)
サクラコのラズベリーの、わずかに開いたすきまに、カエルさんの前脚を差しこむ。
そのくらいなら、痛みもないし。
それで、水分吸って大きくなるのを待つかって?NOだね(←アメリカの通販番組ふう)

前脚を無事イレ終えたら、またリュックの中をガサゴソやって、ファンタジスタを取り出した。そしてカエルさんに、ファンタジスタを抱えこませるように、セットする。
で、スイッチを入れる。するとファンタジスタの動きが、カエルさんのボディを経由して、前脚からサクラコのラズベリーインサイドに伝わるという、名づけて「手に手をとって希望をつなげよう大作戦」である。

ヒトミ、アッタマいいいー。
問題があるとすれば、そのセッティングに時間がかかって、サクラコが眠ってしまったということだけだ。

作業は順調に進行している。カエルさんの、前脚が大きくなっていくのでわかる。

ファンタジスタとカエルさんは、リトルリーグからのバッテリーのように、実に息のあったプレーを見せてくれる。
ぼくはといえば、サクラコの手を握りながら「痛くない?」って聞いてるだけ。
まるで出産に立ち会った夫。
やがて、カエルさんがぼくに目配せ(ふう)。
濡れた水分を吸収して、すでに彼の前脚は、直径3センチを超えようとしている。
ぼくの出番だ、って、なんにもしてないやん。
ともかく、直径3センチにピエールを調整する(小さかったら、Hなことを考えて、大きくなりすぎていたら、男ばかりの工場の昼の休み時間を、想像したりするのだ)
ここからの、ぼくの動きは敏速だった。

カエルさんをクイックに引き抜いて、
カエルさんの前脚とクイックな握手をかわし(GOOD JOB!)、
せっかく開いたところが閉じようとしないうちに、クイックにイン。

入った、入った、入ったよー。
サクラコがぼくを見て、うっすら涙ぐんでる。

サクラコの初めての男になれた!って、でも、もしかしたら、初めてはカエルさん?
ところがそこで、あらたな問題。やっぱり、動くと激しく痛いらしい。

ちょっと動く。ぎゃっ。
ちょっと動く。うげー。
ちょっと動く。ぐきゅーん。。。
どうする?

ヒントは、第二話でツバサさんが言ってくれた、
「セックスは、コミュニケーション」
中学生のサクラコは、ココロとカラダ、8対2で感じたって、言ってた。
できるかもしれない。

ぼくとサクラコは、じっと見つめ合っている(イレたまま)
ぼくは静かに、話し始める(イレたまま)

「サクラコはセックスしたのが、うれしかったのかな?ぼくとこんなにくっつけたのが、うれしかったのかな?」
サクラコは、じっと聞いている(イレたまま)

「ぼくは、セックスはとっても大切なものだと思う。ここしばらくの体験で、はじめてわかった。でも、セックスが大切なのは、人と人がこんなにそばにいられるから。鼓動や体温や吐息を、ダイレクトに交換できるから。気持ちよくなろう、気持ちよくしてあげよう、って、ココロもカラダも一つにできるから。ぼくの、初めての人が教えてくれたんだ。セックスはコミュニケーション。動かなくっても、じっとしていても、それは叶えられるはず」
サクラコは、目に涙をためて、じっと聞いている(イレたまま)

「さっきサクラコの言ってた、オナ時のストーリーって、あのときのことじゃない?」
それは、ぼくが中3、サクラコが中1のときのことだ。

「サクラコはぼくと下校したかった。でも、ぼくはいつも男友達大勢といっしょで、声をかけられない。あの日も、あとからそっと、ついてきた。友達と別れ、ぼくが一人になっても、声をかける勇気がない。そのまま、ぼくの家に着いちゃった。ぼくは気づいていたんだよね。だから、サクラコに、もういちど、学校からいっしょに帰ろうって、手を差し出した。サクラコの手は、汗でびっしょりで、つないだ手がひとつになったみたいだったね」
そして、そのときとおなじように、彼女の手をにぎりしめた。

サクラコは、涙で声にならない。と同時に、ぼくを、つまりピエールを拒絶するように凍っていたラズベリーが柔らかく溶けて、ぼくを、つまりピエールを迎え入れてくれた。

そして涙が出尽くしたころ、サクラコはイッた。
最後の言葉は、
「ありがとう、ヒトミくん。でも、なんで、それが、わかったの」
その問いに、
(あのあと、サクラコの汗のしみついた手で、ぼくもオナニーしたから)
ってことは言えない。

残念、こんども出せなかったな、と思って部屋の外に出ると、もう、さっきのオジサンはいない。そのかわり、着ていた服と、靴と、かつら。
その上に一つの、封筒。開けると一枚のカード。

そこには、「招待状」の文字。
・・・最後の決戦への招待状。
あのオジサンは、つまり・・・。

泣いても笑っても、あと、一人。行こう。もうなにも怖くない。